調湿建材ご採用事例 / 薬師寺 玄奘三蔵院伽藍 大唐西域壁画殿

※本ご採用事例は旧商品「ヒューミライト」によるものです。補足いたしまして,現在の商品「ニューヒューミライト」には溝付き加工品はございません。

大唐西域壁画殿外観

小屋裏施工

ヒューミライト(溝付き)取付け施工完了時の小屋裏

壁面施工

ヒューミライト(溝付き)取付け施工が完了した大唐西域壁画殿 内部
施設名称薬師寺 玄奘三蔵院伽藍 大唐西域壁画殿
設計⁩薬師寺伽藍復興建設委員会
施工池田建設株式会社
使用材料調湿建材ヒューミライト(溝付き・天然塗料仕上げ) 厚さ20mm
板寸法1000mm×2190mm(壁用)
施工部位小屋裏・内壁
施工面積約300㎡
施工期間2000年9月~10月

調湿建材採用理由

壁画保存のための湿度を50~60%に保つため、名古屋工業大学宮野名誉教授の1年間にわたる湿度測定結果に基づき、高湿度に対処するため小屋裏や壁画の背面(壁)、床等に調湿建材を施工することとなりました。

玄奘三蔵院伽藍の完成に至るまで

副住職 安田暎胤

壁画殿内部と壁画の保存

壁画殿の床は砂漠の雰囲気を出したいという平山画伯の希望で、画伯がタクラマカン砂漠から持ち帰られた砂の色に合わせたタイルとしました。その床の中央の一角に、オアシスを表現するため砂漠に生える駱駝草を描かれました。天井は画伯が楼蘭で見られたような群青色の夜空に輝く星を散りばめ、東西に太陽と月が配置されました。

そのため壁画は明るくし、天井はやや暗くする照明が必要となりました。(壁画の内容に関する説明は他の執筆者との重複を避け、割愛します。)壁画保存には光と湿度の調節が重要です。明るい照度では早く褪色しますが、画伯は出来るだけ明るい照度を希望されました。
そのため照明器具を壁面に接近させて拝観場所を暗くし、堂に入る前にも目を慣らすやや暗い空間を設けました。堂内湿度は四十パーセントから七十パーセント以内に保つように要望されました。そのため名古屋工業大学の宮野秋彦名誉教授の協力を得て、一年前から湿度測定器を置き、年間の湿度を測り、高湿度に対処するため屋根裏や壁画の背面、床等に湿度調節する建材を装置しました。

さらに自動的に作動する除湿器も設置し、五十パーセントから六十パーセント以内に保つようにしました。この照度と湿度の調節工事は、当初の設計にはなかったのです。平成十年から周到な計画のもと慎重検討されましたが、工事が完了したのは壁画献納寸前の昨年十二月中旬になりました。

(「薬師寺」第一二七号より抜粋)